QYひすとり~
Trad-Fairy Web
 
■ QYひすとり~ ■
独断でまとめただけですので、もし不足箇所や間違いなどご指摘がありましたらメールもしくは掲示板にてお願いします。
2001/02/11 更新

QYシリーズの流れ

ヤマハはDX7の時代からいろいろなシーケンサーを出してきました。その名機ともいえるのが大型機種QX3。 その性能にあこがれて購入した人もいれば、価格の面で二の足を踏んでいた人もいたことでしょう。
しかし1990年、小さな本体に音源とシーケンサー機能と自動伴奏機能を一体化した機種が登場しました。 それがQY10です。QY10の登場後は、手軽な音楽制作が可能になったミュージシャンもいたと思われます。 その思想はQY20はもちろん、今の最新機種であるQY100にも引き継がれています。
QY300が登場してからのQYシリーズは「場所を選ばない作曲ツール」から「音源を搭載したシーケンスプログラミングマシン」という意味になったようです(このページではQY300やQY700についても説明していきます)。

それでは、「累計で約30万台もの売上げを誇るヒット商品」と言われたQYシリーズの説明を登場順に説明していきます。
QR10やQS300やEOSシリーズは本来なら範疇外ですが、QYの機能を継承しているということで一括して述べます。


QY10

発売開始時期 1990年(生産中止品)
音源方式 AWM(28音ポリフォニック)
音色数 30ノーマルボイス+1ドラムキット
パターン数 24ユーザーパターン+76プリセットパターン(セクションなし)
トラック数 4シーケンストラック+バッキングトラック(パターン・コード・テンポ)
パターン:4パート
QYシリーズの礎。自動伴奏機能とシーケンス機能と音源を一つの本体にまとめた当時としては誰も考えつかなかった(?)機種です。
今の性能から比べると、なんだかポータトーンをそのまま持ってきたようなものでしょうね。

QY20

発売開始時期 1993年(生産中止品)
音源方式 AWM(28音ポリフォニック)
音色数 100ノーマルボイス+8ドラムキット
パターン数 600プリセットパターン(100スタイル×6セクション)
100ユーザーパターン
トラック数 4シーケンストラック+バッキングトラック(パターン・コード・テンポ)
パターン:4パート
QY10の後継機種。鍵盤キーも2オクターブをサポートし、リアルタイム入力がいっそう楽になりました。
音色の方は100音色。プリセットパターンも600種類と、あきらかにQY10より進化しています。
機能面では編集機能も充実したものとなり、大型のLCDを装備したため作業が楽になりました。

QR10

発売開始時期 1994年(生産中止品)
音源方式 AWM(28音ポリフォニック)
音色数 69ノーマルボイス+1ドラムキット
パターン数 300プリセットパターン(50スタイル×6セクション)
60ユーザーパターン(10スタイル×6セクション)
240コンビネーションパターン(40スタイル×6セクション)
トラック数 1シーケンストラック+バッキングトラック(パターン・コード)
パターン:4パート
その他 モノラルスピーカー内蔵
サンプリング機能あり
プリセットフレーズあり(オリジナルフレーズも作成可能)
QYの機能を簡易化し、サンプリング機能などを追加した機種。
シーケンサーというよりはバッキングマシンという位置づけです(名称もミュージックアカンパニメントプレイヤーですし)。
本来ならここで取り上げるべきではない機種ですが、QYの親類ということで。

QY8

発売開始時期 1994年(生産中止品)
音源方式 AWM(28音ポリフォニック)
音色数 40ノーマルボイス+1ドラムキット
パターン数 300プリセットパターン(50スタイル×6セクション)
トラック数 4シーケンストラック+バッキングトラック(パターン・コード)
パターン:4パート
その他 オリジナルパターン作成不可
GM音色配列モードあり
QYの異端児。左にカーソルキー、右にインクリメンタル/デクリメンタルキーなど、操作キーが携帯ゲーム機のような配置となっているシーケンサーです。画面の5線譜を見ながら1音符ずつの入力が可能です。
もちろん自動伴奏機能も搭載。
音源はAWMですが、あまりよくありません。強いて言えば当時の廉価版ポータトーンといった感じ。
性能が簡易型とはいえ、安価で手に入るというメリットはあると思われます。

QY300

発売開始時期 1994年(生産中止品)
音源方式 AWM(28音ポリフォニック)
音色数 128ノーマルボイス+8ドラムキット
(GMシステムレベル1準拠)
パターン数 800ユーザーパターン(100スタイル×8セクション)
トラック数 16シーケンストラック+バッキングトラック(パターン・コード・テンポ)
パターン:8パート
フレーズ数 3093プリセットフレーズ
100ユーザーフレーズ
記憶容量 約53000音(10曲)
対応データ 720KB 2DD対応フロッピーディスク内蔵

データファイル※
ソングファイル※
フレーズファイル※
ESEQファイル
SMF(保存はフォーマット0のみ)

※QS300/B900シリーズ互換
ただし、プリセットボイス・ユーザーボイスの互換性なし
以上のQYシリーズはハンディタイプですが、この機種は大型のハイエンド機種です(QY700と入れ違いに生産中止になりましたが)。 QYシリーズで初のGM音源搭載機種でもあります。
外観はQX3を継承したタイプライター風のキーと、QY20のような鍵盤キーが同居した形になっています。
編集機能はQX3やQY20を継承しつつ高機能化しています。データ変更を高速に行えるジョグダイヤルやシャトルダイヤルなども装備しています。
大型機ですので、もちろんフロッピーディスクドライブも装備。
2DD(720KBのDOSフォーマット)のみの対応ながらスタンダードMIDIファイルのサポートはもちろん、ESEQまでサポートしていますので過去のデータを生かすこともできました。

QS300

発売開始時期 1995年(生産中止品)
鍵盤数 61鍵(イニシャルタッチ/アフタータッチ)
音源方式 AWM2(32音ポリフォニック)
音色数 プリセット:128ノーマルボイス
ユーザー:128ノーマルボイス+1ドラムボイス
XG:480ノーマルボイス+11ドラムボイス
TG300B:579ノーマルボイス+10ドラムボイス
パターン数 800プリセットパターン(100スタイル×8セクション)
800ユーザーパターン(100スタイル×8セクション)
トラック数 16シーケンストラック+バッキングトラック(パターン・コード・テンポ)
パターン:8パート
フレーズ数 3093プリセットフレーズ
100ユーザーフレーズ
記憶容量 約86000音(10曲)
対応データ 1.44MB 2HD/720KB 2DD対応フロッピーディスク内蔵

データファイル※
ソングファイル※
フレーズファイル※
ESEQファイル
SMF(保存はフォーマット0のみ。XGヘッダ付加可能)

※QY300/B900シリーズ互換
ただし、プリセットボイス・ユーザーボイスの互換性なし
開発にあの浅倉大介氏も参加していたというミュージックシンセサイザー。一言で言えば、
「QY300の音源部分をMU50相当のものに替え、さらに鍵盤まで装備した機種」
です。見た感じはW5やW7に近い感じですが、性能はQY300そのもの。音色もMU50相当、つまりXG対応の音色になっています。

EOS B900・B900EX

発売開始時期 1995年(生産中止品)
鍵盤数 61鍵(イニシャルタッチ/アフタータッチ)
音源方式 AWM2(32音ポリフォニック)
音色数 プリセット:128ノーマルボイス
ユーザー:128ノーマルボイス+1ドラムボイス
XG:444ノーマルボイス+11ドラムボイス
TG300B:551ノーマルボイス+10ドラムボイス
パターン数 800プリセットパターン(100スタイル×8セクション)
800ユーザーパターン(100スタイル×8セクション)
トラック数 16シーケンストラック+バッキングトラック(パターン・コード・テンポ)
パターン:8パート
フレーズ数 3093プリセットフレーズ
100ユーザーフレーズ
記憶容量 約86000音(10曲)
対応データ 1.44MB 2HD/720KB 2DD対応フロッピーディスク内蔵

データファイル※
ソングファイル※
フレーズファイル※
ボイスファイル
ESEQファイル
SMF(保存はフォーマット0のみ。XGヘッダ付加可能)

※QS300/QY300互換
ただし、プリセットボイス・ユーザーボイスの互換性なし

小室哲哉プロデュースのミュージックシンセサイザー。EOSシリーズ初のAWM2音源搭載機種です。
メタリックの明るい外観には、EOS B200時代から受け継がれてきたとなっているステレオスピーカがついています。
中身の方はQS300ですが、ダンスミュージック制作に重点をおいているせいかSFX音色が削除されています。
B900EXは色が違うだけで同じものですが、付属品としてサウンドブラスターのジョイスティックポートに接続するMIDIケーブルが付属しています。

筐体色はB900がシャンパンゴールド、B900EXがブルーメタリックとなっています。


QY22

発売開始時期 1995年(生産中止品)
音源方式 AWM(28音ポリフォニック)
音色数 128ノーマルボイス+8ドラムキット
(GMシステムレベル1準拠)
パターン数 600プリセットパターン(100スタイル×6セクション)
100ユーザーパターン
トラック数 4シーケンストラック+バッキングトラック
パターン:4パート
QY20のGM対応機種。

QY700

発売開始時期 1996年(生産中止品)
音源方式 AWM2(32音ポリフォニック)
音色数 480ノーマルボイス+11ドラムキット
(XG準拠)
パターン数 512ユーザーパターン(64スタイル×8セクション)
トラック数 32シーケンストラック+バッキングトラック(パターン・コード・テンポ)
パターン:16パート
フレーズ数 3876プリセットフレーズ
99ユーザーフレーズ×64スタイル
記憶容量 約110000音(20曲)
対応データ 1.44MB 2HD/720KB 2DD対応フロッピーディスク内蔵

データファイル※
ソングファイル※
フレーズファイル※
ESEQファイル
SMF(保存時XGヘッダ付加可能)

※QY300との互換性なし
QYシリーズの怪物機種。QYシリーズ初のXG音源搭載機種です。
QY300を凌ぐ編集機能とMU10相当のXG音源、そしてリアルタイムにイベントパラメータの変更が可能なピッチベンドホイールやアサイナブルホイールを装備しています。
ただ、32シーケンストラック+16パターントラックに対して最大同時発音数32というのは少なすぎるかもしれません(32パートを余裕で演奏させたいならMU80以上の音源を繋ぐ必要があり)。
また、自然なノリが出せるプレイエフェクト機能も搭載しています。
フロッピーディスクの方は2HDをサポート。

QY70

発売開始時期 1997年(生産中止品)
音源方式 AWM2(32音ポリフォニック)
音色数 519ノーマルボイス+20ドラムキット
(XG準拠)
パターン数 768プリセットパターン(128スタイル×6セクション)
384ユーザーパターン(64スタイル×6セクション)
トラック数 16シーケンストラック+バッキングトラック(パターン・コード・テンポ)
パターン:8パート
フレーズ数 4167プリセットフレーズ
48ユーザーフレーズ×64スタイル
記憶容量 約32000音(20曲)
対応データ 付属の「QYデータファイラー」を介してPCとのデータのやり取りが可能。

データファイル(他機種との互換性なし。保存時は一括保存)
SMF(保存はフォーマット0のみ。保存時XGヘッダ付加可能)

現れるべくして現れたと言ってもいいような、QY700直系の機能を搭載したハンディタイプの怪物機種。私の現在のワークステーションでもあります。
XG対応音色はQY700より多い539音色。トラック数がQY700より減少していますが、最大同時発音数を考えれば上等です。
TO HOST端子を装備しているおかげか分かりませんが、ヤマハのDTMパッケージ「HELLO!MUSIC!」シリーズの音源に採用されたり、
「QYデータファイラー」なるQY70のデータをパソコンに保存できるソフトまで付属しています(Windows NT系対応版は別途ダウンロードの必要あり)。

QY100に後を託して生産中止となり完全に過去の機種になってしまいました。


EOS B2000

発売開始時期 1998年(生産中止品)
鍵盤数 61鍵(イニシャルタッチ/アフタータッチ)
音源方式 AWM2(64音ポリフォニック)
音色数 プリセット:128ノーマルボイス+1ドラムボイス
ユーザー:128ノーマルボイス+1ドラムボイス
XG:586ノーマルボイス+20ドラムボイス
TG300B:614ノーマルボイス+10ドラムボイス
サンプリング:32ボイス
パターン数 512ユーザーパターン(64スタイル×8セクション)
トラック数 32シーケンストラック+バッキングトラック(パターン・コード・テンポ)
パターン:16パート
フレーズ数 3876プリセットフレーズ
99ユーザーフレーズ×64スタイル
記憶容量 約100000音(20曲)
対応データ 1.44MB 2HD/720KB 2DD対応フロッピーディスク内蔵

データファイル
ソングファイル
スタイルファイル※
ボイスファイル
サンプリングファイル
ESEQファイル
SMF(保存時XGヘッダ付加可能)

※QY700のファイルを読み込み可能

EOSシリーズの最高峰とでもいうべき機種。QY700のシーケンス機能にMU90相当のXG音源を搭載したような性能です。
さらに今までのEOSになかったサンプリング機能を搭載。
音源部分はXGに完全対応。B900では演奏のメチャクチャになったSFX音色を含むデータも完全に再生されるようになりました。
その他サウンドコントロールノブやアルペジエイターなど、CSシリーズからの流れを汲む装備もあります。
QS300が生産中止間近で、しかも後継機種のないのを見ても、実質的なQS300の後継でもあったようです。

後継機種としてBX(ビーテン)が出たにもかかわらず息の長い製品でしたが、MOTIFシリーズをベースとした廉価版のMO6/MO8に後を託す形で生産中止となりました。


QY100

発売開始時期 2000年
音源方式 AWM2(32音ポリフォニック)
音色数 525ノーマルボイス+22ドラムキット
(XG準拠)
パターン数 768プリセットパターン(128スタイル×6セクション)
384ユーザーパターン(64スタイル×6セクション)
トラック数 16シーケンストラック+バッキングトラック(パターン・コード・テンポ)
パターン:8パート
フレーズ数 4285プリセットフレーズ
48ユーザーフレーズ×64スタイル
記憶容量 約32000音(20曲)
対応データ 3.3Vスマートメディアスロット内蔵
付属の「QY100データファイラー」を介してPCとのデータのやり取りも可能。

データファイル(保存時は一括保存)
ソングファイル※
スタイルファイル※
SMF(データファイラーでの保存の場合フォーマット0のみ。
スマートメディアでの保存の場合読み書きともにフォーマット0のみ。
保存時XGヘッダ付加可能)

※スマートメディア使用時のみ

最新型のハンディQYで、唯一残ったQYでもあります。大きさはスマートメディアスロットを採用したせいかVHSビデオカセットサイズを横にのばしたような感じです。
XG対応音色はQY70より追加されて562音色。プリセットフレーズも追加されてますが、基本的な機能はQY70と同じのようです。
変わったところといえばギター/マイク入力端子とスマートメディアスロット。
前者はいわばモノラルのADインプット端子で、ギターやマイクをダイレクト接続してエフェクトをかけた形で内蔵音源とミックスして出力できます。
後者はハンディタイプQY初の外部記憶装置で、PCがない人でもデータの保存ができるようになりました(SMFにXGヘッダをつけて保存することが可能)。この機種を音源とした「HELLO!MUSIC!QY100」も登場しました が、現在では単品のみの販売のみとなっています。

単品での付属品ですが、「QY100データファイラー」があります。QY70とは互換性はありませんが、PCとの連携を可能としています。